オンボーディングプロセスの重要性について

2022/06/21

アメリカで世論調査やコンサルティング行う会社ギャラップ(Gallup, Inc)が、全米で働く人を対象として、オンボーディングプログラム設計の重要性に関する調査を発表しました。

<主なトピックス>
12%程度しか自社のオンボーディング設計に満足している人はいない

これまでに、新しい環境下で力を発揮することを目的として、十分に充実したオンボーディング設計を体験したと回答したのは、29%のみだった。

一般的に、新入社員が十分に能力を発揮できるようになるまでは12ヶ月ほどかかる

素晴らしいオンボーディング体験を持つ従業員は、そうでない従業員よりも2.6倍の割合で、その企業や環境に満足していると回答。

ギャラップは、上記の調査結果を参考にしながら、多くの企業が設計するオンボーディングプログラムは、多くのミスを起こしていると指摘しています。

昨今、世界的にDXを推進する動きが加速し、IT人材などの専門人材を筆頭に、企業の人材獲得競争が激化しています。

 

昨今、アメリカでは大転職時代と呼ばれる事態が起きており、優秀な人材を確保したとしても、より良い条件を提示する企業へ人材が流出していくという状態が珍しくはないとされています。

そのような状況下で、優秀な人材を確保するための採用戦略は重要度を増していると共に、社員の離職をどのように防ぐか、といった手法に注目が集まっています。

特に、採用をした社員の早期離職を防ぎ、早い段階で高いエンゲージメントと能力を発揮してもらうための新入社員研修「オンボーディング」プログラムの強化を図る企業が増えています。

これまでも、従業員の定着率や、会社へのエンゲージメント、長期的な従業員体験を向上させるために、オンボーディング設計を強化してきました。

 

一方、ギャラップの調査によると、ほとんどの企業では十分なオンボーディングプランを実行できていないと指摘しており、12%しか自社のオンボーディングプランに満足している人がいなかったという調査を発表しています。

この結果は、入社が浅い社員のエンゲージメント低下や早期離職に繋がる危険を持っている企業が多いという実態を示唆しています。

一方で、良質なオンボーディングプログラムを体験した社員の定着率を調べると、そうではない社員と比べて82%もの改善が見られと発表する調査もあります。

では、企業はどのように自社のオンボーディング設計を強化していけばよいのでしょうか。

1. オンボーディングプランは組織全体で実行すべき。
一般的に、オンボーディングプランを企画し実行するのは人事やHRの仕事だと捉えられています。

ギャラップの発表によると、新入社員を迎えるチームや組織のマネージャーがオンボーディング施策の実行に積極的に関与している場合、オンボーディングを体験した従業員の満足度は3.4倍程度の向上が見られるとしています。

新入社員自身が、入社後に自分に求められている役割やチームの中での立ち振る舞い、また、自身の社交性を発揮しながら、チームメンバーや組織内の人間と自発的に親しくなっていける人材はあまり多くないでしょう。

働きやすい環境や雰囲気を設計するだけでなく、人間関係の構築も含めたプランを設計することは極めて重要である一方、ウェルカムランチだけで終わらせている企業も少ないのではないでしょうか。

2. 短すぎるオンボーディンプログラム
企業にとって、新入社員にはできる限り早く戦力になってもらい、自社への貢献や高い生産性を早期に発揮してもらいたいと考えます。

ギャラップの調査によると、新入社員が自身の能力を発揮し始めるのは、12ヶ月程度の期間が経ってからだという内容を発表しています。

一般的だとされているオンボーディング期間よりも、実際に必要なオンボーディング期間は長いため、企業はその前提を持ってオンボーディングプログラムを設計するべきです。

3. オンボーディングプログラムに自社カルチャーを体感する内容を盛り込む
ミッション・ビジョン・バリューを設定している企業、昨今はパーパス経営を推進している企業も増えています。採用資料やパワーポイントでそれらのカルチャーを候補者に伝え、その言葉やビジョンに共感して入社をする候補者も少なくないはずです。

 

その場合、オンボーディングプログラムにそれらのカルチャーを体感する内容を意図的に組み込むことは極めて重要です。

 

そうでない場合、新入社員が自然とそれらのカルチャーを体感するのに任せることになりますが、部署やチームによっては、それらのカルチャーを体現できていない場合もあります。

 

その場合、入社前に描いていた理想とは違うカルチャーだと捉えられてしまい、早期退社に繋がることも考えられます。

4. 従業員のキャリア形成を実現する明確なプランを
候補者が就職先や転職先の企業を選ぶ際、候補者はその企業・組織で働くことに何らかの可能性や目的を見出します。多くの場合において、候補者の希望や意向を面談や面接時に確認し、キャリアプランなどを把握した上で、オファー内容を提示しているはずです。

しかし、それらのヒアリング情報ををもとにしてオンボーディングプロセスを設計している企業はどれくらいあるでしょうか。候補者が入社して以降は、現場のマネージャーやチームに任せてしまっている企業も少なくないはずです。

ギャラップの調査では、従業員の担当領域におけるキャリア形成において、明確な研修プランが設計されている企業では、そうでない企業よりも、オンボーディングプランにおける満足度に3.5倍もの開きがあると発表しています。

5. オンボーディングプログラムは完璧であるべき
ギャラップは、自身が体験したオンボーディングプロセスを5段階で評価してもらう調査を行いました。5をつけた従業員は、4以下をつけた人と比較し、2倍以上のポイントで自分の能力を発揮するのに役立ったと回答していることを明らかにしています。

この調査結果を考えると、オンボーディングプランはどの従業員にとっても5をつける内容になることを目指すべきであり、そうでない限りは、改善され続けるべきであると言えます。

6. オンボーディングプログラムの評価施策を
ほとんどの企業はオンボーディングが機能しているかどうかを把握していません。パルスサーベイなど従業員が体験したオンボーディング体験の実態を把握する施策はとても重要です。

 

それらの結果と、社員のエンゲージメントやパフォーマンス評価、退職率などの指標と紐付けてることも可能であり、また、離職に至った場合においても社員がどの段階で企業や組織と接点を失っていくのかを明らかにしていくべきです。

加えて、オンボーディングプロセスの精度と、エンゲージメントやパフォーマンス、退職率といった指標は紐付けて考えられるべきである。

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