加速する人材獲得競争下で、イチ早くスキルベースの採用活動に取り組むべき理由

2022/12/02
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Linkedinが発表しているレポート「A Skills-First Blueprint for Better Job Outcomes」から、興味深い採用市場の動向が発表されました。今回は、

  1. コロナがスキルベースの採用活動を加速させた理由
  2. 企業がスキルファーストの採用活動を軸に据える傾向が強くなった背景

について、考察していきます。

主なトピックス

  • スキルの変化
    2015年と現在を比較すると、仕事で必要となるスキルセットが約25%変化しており、2027年までにこの数字は2倍に増えると予想される
  • 急速なデジタライゼーション
    2020年とコロナ前の2年間を比較したところ、デジタルスキルに関するプロフィール追加をするLinkedin登録者が急速に増えた
  • スキルベース採用が求職者と採用担当者に良い影響を与えている
    LinkedInでの採用活動において、スキルデータを活用した採用活動に取り組んでいるリクルーターは、そうでない担当者よりも、採用に成功する可能性が60%程度も高くなる結果
  • 関連スキルの特定により採用活動を推進
    LinkedInのプラットフォーム分析から、会計関連のスキルを持つ人は、カスタマーサービスに必要となるスキルと7割程度は一致しているとの結果に
  • 大転職時代の中で、リスキリングへの投資が社員定着への鍵に
    学習と成長を促すワークカルチャーを持っている企業に好印象を持つ人が多い中で、自分の企業において、新しいスキルの学習に就業時間の一部の利用を推奨していると感じている従業員は52%程度のみ。

スキルの変化

時代が変わるにつれて、社会で必要とされるスキルは変化してきましたが、昨今はコロナ下で加速したデジタライゼーションによって、その速度は急激に早くなっています。最新のLinkedinの調査によると、2015年と現在を比較すると、仕事で必要となるスキルセットは25%ほど変化しており、2027年までにこの数字は2倍になると予想されています。スキルは昨今の労働市場の通貨であると言えるのではないでしょうか。

OECDによると、これからの10年間で10億以上の仕事(世界の1/3を占める)がテクノロジーに取って代わられると予測されています。また、Linkedinの独自データでは、これらの変化はすでに始まっている傾向が見られています。

急速なデジタライゼーション

コロナ以降、あらゆる産業において「DX」がキーワードとなっていますが、Linkedin上に登録された情報を分析すると、2020年とコロナ前の2年間の比較で、デジタルスキルに関連したプロフィールを追加するLinkedin登録者が急速に増えていました。また、2020年と2021年を比較すると、Linkedin登録者のスキル登録数が22%増えており、全体で約2億8000万ものスキルが登録されている状態となっていました。

Fintech(フィンテック)やEdTech(エドテック)などに代表されるように、これまでの歴史において、テクノロジー活用がされにくいと考えられていた業界においても急速にデジタル化の波が押し寄せた事例もあります。コロナ以降はハイブリッドな働き方の実現を目指したIT活用や、エッセンシャルワーカーの生産性向上に繋がるようなIT活用を推進する動きも広がっています。

例えば、デジタル通貨の台頭により、暗号通貨に関連した求人はLinkedinの中でも急速に増えており、米国においては「ビットコイン」、「イーサリアム」、「ブロックチェーン」、「暗号通貨」などの用語を含む求人情報が、1年間で395%も増えているほどです。

また、米国の建設業界は2015年から最も大きなスキル変化が見られました。建設業界に含まれる役割は幅広く、請負業者や建築家、建設管理者などが該当しますが、特に建築家の中ではデジタルスキルを保有していることが主流となる傾向が見られ、Bluebeam や Procure などのツールを扱えることが、この分野で必要なトップスキルとして挙げられています。

スキルベース採用は求職者と採用担当者に良い影響を与えている

これらの時代変化の中で、従来の学歴を重視した採用活動ではなく、自社が求めている役割から必要となるスキルを定義し、スキルベースの採用活動を行うことが重要となっていきます。Linkedinの調査では、40%の採用関係者が、Linkedinでの採用活動においてスキルデータを活用しているという結果が出ており、1年前と比較して20%程度も増加している傾向が見られます。

企業側もスキルベース採用の重要性を捉えつつあり、スキルデータを活用した採用活動に取り組んでいるリクルーターは、そうでない担当者よりも、採用に成功する可能性が60%程度も高くなるという調査結果もあります。

米国では、大学の学位を持たない7000万人のSTAR(Skilled Through Alternative Routes)と呼ばれる人材がおり、大卒以上という要項を削除するだけで、スキルレベルの条件がクリアになるため、より多くの人材がより良い給与を得られるようになるとの調査も出ています。

関連スキルの特定により採用活動を推進

様々な仕事が新しいテクノロジーによってその形を変化させる中で、World Economi Forumは2030年までに10億人以上の人々をリスキリングさせる必要があるだろうと予測しています。昨今のハイブリッドな就労環境において、もちろんデジタルスキルの習得も重要ですが、対人コミュニケーションに関するスキルにも高い需要があると見られています。

Linkedinのグローバルスキルデータでは、さまざまな職種のスキルを比較し、類似するスキルを特定することで、人々が新しいキャリアパスを発見するのを支援してきました。その中で顕著な一つの例は、レジ業務を経験している人はカスタマー サービス担当者としてのスキルとマッチするという点です。

レジ業務経験者がカスタマーサービス担当者へと転職することは、LinkedInにおいてはかなり頻繁に行われています。同社のスキルデータにおいて、これらの職種の間で約7割の相関性があることを示しています。この情報をもとに考えると、明確に職務経験がない場合においても、類似スキルを定義した上で採用活動を行い、適切なオンボーディングを行っていくことでより充実した採用活動を行っていけることを示唆しています。

人材の流動性が高くなる昨今において、リスキリングへの投資が社員定着の鍵に

人材獲得競争が加速する現代において、米国のLinkedIn登録者が転職する割合は、2021 年と比較して約 30% 増加しています。

時代の変化が早くなっているため、今まで以上に人々は学習と成長の機会を重要視しており、それらを推奨する文化を持つ企業が魅力的に映る条件の一つとなっています。一方で、同社のデータでは、勤務時間を使って新しいスキルを学ぶことを推奨しているカルチャーを持っていると感じている従業員は52%程度であるとしています。

そのため、Linkedinの2021年の7月から9月にかけてのデータでは、人材開発領域におけるスペシャリストの求人が、前の3ヶ月間と比較して、94%も急増していることがわかっています。また、社内異動に優れた企業では、従業員を平均で5.4年ほど維持できるとされており、一般的な企業の平均勤続年数が2.9年である点を鑑みると、ほぼ2倍の長さとなります。

コロナ以降の新しい常識に対応せざるを得ない

パンデミック前の常識に戻ることはないことを前提として、働く人々は何らかの方法でのリモートワークを望むでしょう。また、ワークライフバランスや幸福度の追求、学びや成長の機会の充実といった企業側の姿勢においても、求職者が企業を選ぶ上でのとても重要な指標となっていくことが予想されます。

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