コスト意識が最も重要!DMM.comのオンボーディングとは

2022/05/23
  • オンボーディング

プロリクではプロコミュと題して月2回のオンラインイベントを開催し、採用ノウハウや面接術など採用ご担当者の方に活用いただける情報を発信しています。トークイベント第三回では、DMM.comの石井伸幸さんから「オンボーディングとチーム作り」について話していただきました。

第二回のトークイベントも併せてご覧ください!

藤澤さしみ氏:本日はご参加いただきありがとうございます。ファシリテーターの藤澤さしみと申します。今回は第3回目ということで、オンボーディングとチーム作りについてDMMの石井さんからお話いただきます。それではよろしくお願いいたします。

石井伸幸氏:改めまして、DMM.comで人事をしている石井と申します。本日はよろしくお願いします。まずは、私の自己紹介から簡単にさせていただきます。

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元々は、10年ほど事業開発をしており、その後5年間人事関連のコンサルティングをしていました。2020年5月にDMMへ入社して初めて人事を経験したので、人事歴は1年10ヶ月ほどです。現在は、DMMで新規事業を推進する事業開発本部を担当しています。

本日の発表ですが、・オンボーディングのポイントが分かる・自社の課題点が明確になる・終わってすぐに行動したくなる!を目標に進めていきます。

オンボーディングは価値発揮までの時間を短縮させる

オンボーディングとは、企業が新たに採用した人材を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化させるまでの一連の流れのことです。そして、オンボーディングには、ゴール設定をする必要があります。ゴール設定は本人に慣れてもらうのではなく、上司や同僚も対象として、職場全体が本人を受け入れる体制を作り、いち早く統合させるのが重要ですね。

次のグラフは、採用した人材が価値を発揮するまでの流れを説明したものです。縦軸に価値発揮の度合い、横軸に着任後の月数を表しています。

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最初は、これから仕事を覚える必要があるので価値を全然発揮できない状態から始まります。その後は徐々にパフォーマンスが上がっていき、本来ある価値を発揮できるようになりますね。

パフォーマンス発揮後に、価値発揮の累積が0になる点をブレイクイーブンポイントと呼んでいます。今回のグラフでは、7ヶ月目の一歩手前がブレークイーブンポイントとなっています。

オンボーディングの本質は、このブレークイーブンポイントをいかに短くするかです。

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オンボーディングによってブレークイーブンポイントまでの期間を7ヶ月から3,4ヶ月程度に短縮することができれば、投資の回収が早まります。この回収を早めることにフォーカスして施策を実行することが重要です。

オンボーディングでよくある落とし穴

私は、オンボーディングには「トランジション」というフレームワークがフィットすると考えています。

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トランジションとは、上図にある通り、エンディング・ニュートラルゾーン・ニュービギニングという大枠の流れのことです。具体的には、**一番最初に終わりがあり、真ん中のニュートラルゾーンで新しい何かを身に付けて新しい行動を促していき、最後に移行期が始まります。**トランジションでは、つまずくポイントが大きく2つあります。

1つ目は、エンディングの部分です。中途採用をした場合、前の職場のやり方をそのままやってしまうというのがよくあります。そこで、一番最初にこれまでのやり方を一旦捨てるように促していくのが非常に重要です。

2つ目は、ニュートラルゾーンです。ここでは、会社の組織文化や価値観をキャッチアップさせるのが重要ですね。

オンボーディングはフェーズごとに進めていくもの

オンボーディングとして理想的な流れは以下の流れです。

①職場適応する ②知識・スキルを学ぶ ③仕事で成果を出す ④他者に対して影響を与えていく

入社者は「すぐに成果を出さなければ」という焦りがあります。その焦りの結果、いきなり他者に対して影響を与えようとして失敗するケースは多いんです。オンボーディング施策を適切におこなうことで、人材が職場適応から順を追ってこなしていくサポートをすることが重要です。

DMMのある事業部では、フェイズを3つに分けて取り組んでいます。

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最初は、どれくらいの期間でオンボーディングをおこなっていくのか、本人とのすり合わせからです。本人と1on1で計画を設定したら、ビジョンの共有や部署の説明、専門知識の基礎をレクチャーしていきます。

次のフェイズでは、OJTの形で業務を経験していき、関係性の構築や技術のキャッチアップなどを進めていきますね。

最後に、メイン業務以外のプロジェクトを経験してもらいます。職場に慣れていくのを狙いとしています。

全てのフェイズで重要になるのは、一度にやると本人が消化不良を起こしてしまうので、フェイズごとにゴールを明確にすることですね。明確に意識合わせすることは納得感を持ってキャッチアップしてもらうためにも重要なので、ぜひ取り入れてみてほしいと思います。

定期的な面談でオンボーディングの進行状況を確認

ここまでは現場を巻き込んで対応が必要になります。続いては人事が実務として対応する内容に焦点を当てます。

弊社では人事チームで、初日に3時間程度でツールの使用方法や同期のつながりを作る入社ガイダンスをしています。他にも、経営層との接点を作るために、CxOからのメッセージも設定したり、セキュリティ関連の講習を受けてもらったり、リーダー陣との交流支援もおこなっています。

また、入社後面談を通じて定着率を定期的に把握しています。定期的な面談を行うだけではなく、上司側と部下側の両名にアンケートに回答してもらうことで、実態としてオンボーディングのプロセスが順調に進行しているのかを確認しています。

中途入社者へのサポートが重要

ここからは、オンボーディングの未実施でよく見られる失敗例についてご紹介します。よくみられる失敗例は、中途入社の方に対して特にサポートをしないパターンです。サポートをしない結果、何を期待されているのかが本人に伝わらず、もやもやした状態で業務に取り組んでしまいます。実は、これらの問題を引き起こしているのには理由があるんです。

まずは「中途で入ったから即戦力でしょ」とラベルが貼られていることが多いです。本人も実力を発揮しようとするので、周りの目を感じて業務の中で理解できないことがあったとしても、他のメンバーにきけないという心理状態が働きます。

特に、レイヤーが上がるほどこの傾向が強まります。周囲の人間としても、助言によって本人の気分を害するかもしれないと忖度して本人に伝えづらいことは容易に想像できますよね。

この現象が起きると、本人が聞けずに周りからも教えてもらえないため、定着期間が相当伸びていき、コストがかかってしまいます。中途入社の方に対してこそ、意識的にサポートしていくことが重要です。

中途入社者が陥りやすい7つの病

中途入社の方が活躍してくれるためにも、オンボーディングを適切に実施する必要があります。その前に、私が考える中途入社者が陥りやすい7つの病をご紹介します。それぞれ対応策も合わせてご紹介するので、オンボーディング実施時のお役に立てれば嬉しいです。

・こだわりのクセ強い病 ・若手ひな壇芸人病 ・悟空病 ・Not Done is better than perfect 病 ・ハンマーを持ったらあらゆる釘をたたく病 ・明後日の方向に向かって爆走する病 ・手擦りコネコネ病

1つ目は、前職と同じことをさらに頑張れば新しい仕事でも成功すると考えている人です。新しい仕事で成功するためには、経験の一部を取り入れつつ、新しい能力を身につける必要があります。本人は終わりから始まるのを理解していないため、こちらから教えてあげるのが重要です。

2つ目は、期待に応えるためになんとか爪痕を残そうとする「若手ひな壇芸人病」です。この病では、とにかく行動するのを最優先としているため、誤った判断を下してしまいます。本人と期待値のすり合わせをおこなうのが大事ですね。

3つ目は「悟空病」と言って、ピンチの時でも自分がやらなければならないと思ってしまい、上司とのすり合わせをせずに意思決定をしてしまいます。組織の文化などを理解させるのが重要ですね。

4つ目の病は、早く成果を出さなきゃいけないという焦りから色々なことに手を出してしまい、最終的に終わらせるべきものが終わっていない状態のことです。ここでも、期待値のすり合わせが必要ですね。

5つ目は、前職の経験をベースに解決策を決めつける人です。新しい解決方法を探すのではなく、自分の中にある解決方法だけで探ってしまいます。ここでは、今の状況や会社の文化を理解させるプロセスが重要です。

6つ目は、人間関係や組織の文化などを学習せずに突っ走ってしまうことです。やはり、最初に会社の文化を理解させる必要がありますね。

7つ目、最後ですが、上司との期待値はすり合わせできているけど、同僚とのつながりを軽視してしまい、メンバーの中で浮いてしまうことです。技術だけにフォーカスすると陥りがちなので、オンボーディングのプロセスで、技術以外の組織文化的な部分をしっかりとキャッチアップさせていく必要がありますね。

この問題については、以下のチェックリストをぜひご活用ください。どのような視点でコミュニケーションや情報収集をしていくのかをまとめているので、振り返りにお使いいただければと思います。

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以上で、今日の発表を終了させていただきます。コスト意識を持ち擦り合わせを十分行いながら、ぜひ効率的なオンボーディングを実践していただければと思います。ご静聴いただきありがとうございました!

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