「勘と経験」から脱却し、データに基づいた意思決定でよりよい採用体験を提供したい—プロリクが採用支援にかける想い

2022/08/04

ITエンジニア採用に特化した採用代行サービス「プロリク」。CEOの橋崎良哉は自社のサービスを通して「データに基づいた意思決定で企業の採用業務をよくしたい」「採用体験を向上させたい」と話します。実際の採用プロセスでどのようにデータを用いているのか、どのようなスタンスでクライアントの支援をしているか、橋崎に聞きました。

橋崎良哉
学部在学中にWebサイト制作事業で起業。その後取締役として当時経営不振だった家業の鉄鋼加工業に携わり、業績回復および約2倍の売上規模までの成長を牽引。グローバルのデジタルマーケティング支援を行うベンチャー企業にてデジタルマーケティング企画、アクセスログデータやアンケートデータの多変量解析に携わった後、2012年よりAIスタートアップのエッジテクノロジー株式会社にて、取締役COOとして社員0名から70名までの事業成長を実現し、2018年から現職。

ダイレクトリクルーティング黎明期に培ったエンジニア採用×スカウトノウハウ

——プロリクを創業する以前からエンジニア採用に関わられたりエンジニアと協業をされていたとのことですが、具体的にどのような関わり方をしていたのでしょうか。

 実は私はいわゆる人事としての経験がありませんでして、プロダクトづくりや採用業務でエンジニアと関わってきたことがプロリク創業の知見の地盤になっています。具体的には、前職のエッジテクノロジー株式会社というAIスタートアップで取締役COOとして、2012年からクライアントワークと自社採用、二通りのエンジニア採用を経験してきました。また自社プロダクト開発の責任者もしており、プロダクトづくりを通してエンジニアとの協業も長く経験してきました。

まず、クライアントワークという観点ですが、前職ではフリーランスのエンジニアをクライアントにご紹介する形で、様々なweb開発、業務システム開発のプロジェクト支援をしていました。AI開発プロジェクトを中心にしつつも様々な案件に関わらせていただいたので、AIエンジニア、データサイエンティストのほか、Webエンジニア、業務系エンジニア、インフラエンジニア、PM/PMO、ITコンサルタントなど、あらゆる開発関連職種の方々の経歴書に触れ、直接お話し、価値観・キャリア観、意思決定理由を聞くということを多く経験させてもらいましたクライアントとの打ち合わせにも同席しておりましたので、現場の優秀なエンジニアがご紹介したエンジニアをどういう観点で見ているか、つまり「エンジニアがどうエンジニアを評価するか」という場に多く触れてきました。

こういった経験がエンジニア採用の知見につながったと感じています。技術に関する概要、技術領域の区分け、技術トレンドといった知識面、またエンジニアの方々が各領域ごとでどういう経歴パターンの方がおられるのか、どういうキャリアを志向しやすいのか(何を嫌だと感じているのか)、どういうことを気にするのか、どう意思決定するのかといったエンジニアという人々に関する解像度の高い情報を得ることが出来たと考えています。

次に、自社採用という観点ですが、ダイレクトリクルーティングを中心にした方法論で、正社員・インターン生・業務委託・派遣と形態にかかわらず、ビジネス職、エンジニア職などあらゆる採用をしてきました。

当時はダイレクトリクルーティングという言葉もまだ知名度低く、スカウト文をテンプレで打っているような時代でした。どんなスカウトであれば返信が来るかといった知見は世に出ていなかったんです。

そんな中、ビズリーチ、Wantedly、Green、Paizaなど主力になるような媒体は広く使い、試行錯誤を重ねていくことで、エンジニア、ビジネスサイドともにその多くがスカウト経由で入社が決まっていました。ビズリーチのCS担当者からはスカウト返信率が極めて高いと驚かれるようなこともありました。新卒採用にもダイレクトリクルーティングを中心に取り組んでいました。総合職、エンジニア職合計で10名以上採用していましたが、9割がダイレクトリクルーティング経由でした。当時の採用単価は数十万円と、非常に小さなコストで採用することができまして、中途採用のノウハウは新卒採用でも活かせるなと感じました。

こうした試行錯誤を通してダイレクトリクルーティングにおける成功方程式のようなものが自分の中で出来ていました。

最後に、自社プロダクト開発におけるエンジニアとの協働という観点です。今でいうプロダクトオーナー・PdM・開発ディレクターを兼務するようなポジションで自社プロダクトに関わっていました。機械学習を用いた業務自動化のSaaSを企画してエンジニアチームを組成するところから始まり、システム要件をすり合わせをし、機械学習アルゴリズムの選定、システム実装、アルゴリズムの精度向上、テスト、リリースまで一貫して開発エンジニアやAIエンジニアと協働してプロダクトづくりをしていました。

機械学習の精度向上への取り組みや、開発を進める上でどういうトラブルが起きやすいか等多くの知識をチームから勉強させてもらい、AIや開発に関する知識を広げる機会になったと感じています。 

データドリブンに採用プロセスを洗練させ、「気持ちのいい採用体験」を価値として提供したい

——プロリクのサービスを通して、企業にどんな価値提供をしたいと考えていますか?

採用プロセスの一つ一つに対して、データを基軸に丁寧に意思決定の支援をすることで、採用業務をもっとよくしたい、経営者や人事の皆様の採用体験をよくしたい、と思っています。

前職ではAIスタートアップという性質上、データを分析して意思決定をすることが当たり前の文化でしたが、採用領域に入ってみて思った以上にデータが活用されていないことに気づきました。

一例が、求人媒体の選定です。ビズリーチやWantedly、Greenなどさまざまな媒体がある中でどれを使うか考えたとき、多くの人が「媒体の特性と自社の相性が良さそう」「過去の経験ではこの媒体がよかった」「他社はこれで採用できているらしい」という、勘、口コミ、経験に基づく意思決定をしているように感じました。

そうした意思決定の仕方では、うまくいくこともあるかもしれませんが、再現性がデータで担保されているわけではありません。本来は、データ上どの媒体を使うと最も最適なのか、事実を見て意思決定する必要があります。

あくまでたとえばですが、ビズリーチは即戦力採用を謳ってCMを多く打っています。それをそのまま受け取ってしまうと、ハイクラスなビジネス職が利用する媒体というイメージを持ってしまうかもしれません。そのイメージだけで利用媒体を判断すると、エンジニアを採用したい人事にとってビズリーチは合わないと判断されがちです。

しかしデータを基軸にすると景色が変わります。媒体の登録数に目を向けると、ビズリーチは全体の登録母数が非常に多く、2022年4月末時点で159万人以上もの会員数を抱えています。一方でほかのエンジニア特化型の媒体は登録母数が1~3万人しかいません。母数だけで見るとビズリーチは実に80倍もの登録がされているわけです。その中で、仮にエンジニア関連職種の比率が10分の1だとすると15万人が登録していることになりますので(実際はもう少し違う割合ですが)、他媒体よりもよほど多くのエンジニアの登録者数がいることになります。

もちろん媒体ごとのエンジニアのレベル感や運用負荷など媒体選定における論点は他にもありますが、ここで言いたいことは、なんとなくの印象で足切りしてしまい、合理的に比較検討がされていない現実を感じた、ということです。

そのような歯切れの悪い意思決定をすることに気持ち悪さを感じ、プロリクでは社内で定めた媒体比較のための計算式を作り、その計算式をもとに期待値をはじいて合理的に媒体選定し提案するようにしています。

また別の例を考えてみましょう。「スカウト返信率を上げるためによいスカウト文を作りましょう」と言いますが、よい文を考えるときにも勘と経験から考えがちなんです。たとえば、「スマホ時代は長い文章は読まれないから、文字量を少なくしたほうがいい」という議論が頻繁に出るのですが、データ分析してみると一概にそうとは言い切れないんです。

弊社の分析の結果では、ある範囲の短い文章、または、ある範囲の長い文章は返信率が高い傾向にあり、間の範囲の中途半端な長さのスカウト文章は返信率が落ち込むという結果がでました。つまり「スマホ時代はシンプルで短いスカウトだとさくっと読まれて返信率が上がりやすく、長い文章は面倒で読まれないから短くした方がよい」という単純な話ではないのです。スカウトの返信率は単純に文字量で考えるのではなく、その文章で行動変容を起こすだけの内容であるかどうかが重要であるということです。

また別の例ですが、多くの企業や採用代行会社では、スカウトの改善を回すタイミングも勘に頼りがちなのではと思います。スカウトの内容が現状のままでよいかどうかを検証するのに、「100通スカウトを打ったら」または「1週間経ったら」など、区切りのいいところで振り返りをするということをよく見聞きします。しかし、これでは実は適切なタイミングを逃しています。

プロリクでは改善タイミングもデータに基づいてスカウトの改善を回します。詳しいデータや計算式は出せませんが、適切な振り返りタイミングはデータで支えられたものがあります。プロリクではデータに基づいて改善をスピーディーに回すことができています。

このように、勘と経験で行われてきた採用業務のプロセスを洗練させることで、データに基づいて合理的に意思決定する。そんな気持ちいい採用体験を価値として提供したいですね。

——データドリブンに採用活動を支援する上で、エンジニア採用に固有の工夫としてはどんな取り組みをしていますか?

一例を挙げると、データからエンジニアの応募行動を分析しています。

たとえば、「求人を見て応募する際何を重視しているか」をデータで検証したところ、新しい気づきがありました。スカウトを受信して企業を知ったタイミングと、実際に応募しようと意思決定したタイミングとでは、エンジニアが知りたいと思っている情報がまるで異なるんです。つまり、候補者と企業が出会って面談・面接するというプロセスの中で、候補者の意向を上げるためにどのタイミングにどの情報を出すべきか、設計して情報を届ける必要がある、ということを示唆しています。

また、別観点での応募行動について説明すると、エンジニアが応募するかどうかについて、そこまで軽いカジュアルな意思決定をしていないということが見えてきています。企業がスカウト送信後、候補者が応募するまでの日数を計測すると即日応募ではなく一定程度の時間を要していること、スカウトを受け取ってから7割程度の方が他のチャンネルで情報を得てから応募するかどうかの意思決定をしていること、といったデータから、エンジニアはよく企業のことを調べ、態度を決めて、応募をしているのだと考えられます。

つまりここから何が言えるかというと、エンジニアが応募するかどうか態度を決めるための参考情報として有用なコンテンツが整理されていなければ、応募を後押しできないということを意味しています。まさに今市場はコンテンツ作成の競争に入っていますが、コンテンツ作成担当者は自分たちが何を作っているのかを自覚して動いて行く必要があります。単純にインタビューをとろうとか、バズりそうな企画を単純にパクろうとかではない、考え抜かれた骨太なコンテンツ作成が求められています。

最先端の成功方程式と自社との差分を示し、採用を底上げする

——提供するサービスの質を上げるためには、どんな工夫をしていますか?

社員である採用コンサルタント一人ひとりに、最新の成功事例や新しいチャレンジを共有する仕組みを作っています。

クライアントは、プロリクのノウハウを活かして、成功する方程式で採用活動を進めてほしいというニーズを持たれています。その意味でプロリクは業務をただ代行するだけではなく、広く採用活動に伴走し、採用活動をどう良くするかのアドバイスをさせていただくようにしています。

成功する組織を作り出すスタートアップは、採用にもチャレンジングであることが多いと感じています。弊社はそのようなスタートアップとお取引することが多いため、各領域でおもしろい独特なチャレンジをしているクライアントと一緒になってチャレンジさせていただき、成果を上げ、仕組みとして回るように協働させていただきます。そして、そこで得たノウハウ・最新の潮流をまとめたベストプラクティス集のようなものを社内で作っており、社員が各プロジェクトの採用コンサルタントとしてクライアントと向き合った時に、ベストプラクティスとクライアントとの差分を見ながらどのタイミングでどのような提案をするかを考えて、ご支援するような体制にしています。

——今後、クライアントとはどういった関係性でありたいと考えていますか?思いを聞かせてください。

クライアントとは、ただの代行会社、下請け会社としてではなく、あくまでパートナーとしてフラットにお付き合いをしたいと考えています。立場は違えど、同じ目標の達成に向かって進むパートナーであるというスタンスで向き合っていただけたクライアントほど、採用成果としても非常によい結果が出ています。

プロリクでは勘と経験ではなく、データを基軸に採用活動を進めていきます。蓄積しているデータに真摯に向き合い、ともにデータに基づく意思決定をしてくださるクライアントと相性がいいと考えています。

よりよい採用体験を求めてくださるクライアントと真摯にお付き合いしたいと思っています。

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